過去のブログで超高齢化社会の課題の解決と、地方創生の課題解決でインターネットができることについて書きました。
今回は、深刻な後継者不足に陥っている伝統工芸について、インターネットで何がどのように解決できるのかを考えてみたいと思います。
伝統工芸が直面する3つの課題
伝統工芸が直面する課題として次の3つが考えられます。
1.伝統工芸品の生産量が減っている
2.伝統工芸の後継者が不足している
3.伝統工芸の技術の伝承が難しい
これらの問題を一つずつ見て行きましょう。
伝統工芸品の生産量が減っている
伝統工芸が直面する課題として一つ目に上げられるのが、経済産業省の2021年10月のデータによると下図のように、伝統工芸の生産量が減っていることです。
生産額は、平成28年度と平成10年度を比べると約1/3にまで減少しています。
これは非常に危機的な状況にあると言えます
伝統工芸士の高齢化により生産量が減っています。
さらに後継者不足が生産量が減る原因となっています。
さらに、都市化と核家族化が進み、生活様式も西洋化して文化的にも西洋文化がもてはやされています。
そうなると伝統工芸が売れなくなり、人を雇うにも雇えなくなります。
生産量が減ることで売り上げも減少し、給料も払えなくなったり、給料が増えない、あるいは減ってしまい、正社員どころかパート、アルバイトも雇えなくなってしまいます。
そうすると、生産量が落ちるので販売することができなくなる悪循環に陥ります。
もともと伝統工芸は手作業で行われることから、生産性は高くないです。
原材料や人件費が上がると、価格上昇分は人件費を抑えるか、販売価格を上げるしか方法がありません。
伝統工芸は非常に苦しい状況にあります。
伝統工芸の後継者が不足している
2つ目の課題は、後継者が不足していることです。
下図によると、伝統工芸士は平成20年度の約4,600人超から減少し、令和1年度では3,900人程度まで減少しています。
その中で女性の伝統工芸士の割合は増えていて、ここ数年は16%程度まで増えています。
伝統工芸士が減少している原因は、高齢化です。
少子化の影響や、産業構造自体がインターネットや金融にシフトしていること、後継者を親族以外に求めることが行われて来なかったことに原因があります。
また、後継者をどのように探せばよいのか分からない問題もあります。
制作に没頭していると、どこに聞けばよいのか、何をどのようにするのかが分からないのも無理はありません。
伝統工芸の技術の伝承が難しい
3つ目の課題は、伝統工芸の技術を後世に伝える手段が限られていて、時間がかかり過ぎることです。
昔から職人の世界で言われるように、「技術は見て盗め」では時間がかかり過ぎます。
職人の世界では、どうしても技術が人から人へ、見て聞いて伝わって来たので、誰が見ても分かるような形に保存されていません。
温度、湿度、気圧、圧力といったものを数値したり、人の感覚を数値化するようになっていないと伝承に時間がかかります。
ビジネスの世界で言われる「見える化」が行われていないので、技術が一人の伝統工芸士のレベルで止まってしまっています。
すべて見える化で解決できるわけではないし、誰がそれをやるのかの問題もあります。
しかし、これは技術の伝承だけでなく、技術の進歩を加速することになります。
残すものは残し、新しいものを取り入れる姿勢が技術の伝承に必要です。
インターネットを使った3つの解決策
以上が、伝統工芸が直面する3つの課題でした。
では、これをインターネットがどのようにして解決できるのか、3つの方法をお伝えします。
1.インターネットによるネット販売で販路を拡大する。
2.後継者をマッチングによって生産者と結びつける。
3.ネット販売とマッチングを融合させる。
インターネットでの販売が後継者不足の解決につながる
地方に埋もれている伝統工芸品はたくさんあります。
最近でこそ少しずつネット販売が一般的になって来ましたが、それでもまだまだネット販売を手がけていない所はたくさんあります。
高齢化によって、インターネットが使えないとか、販売方法の仕組みもよく分からないのが現状です。
インターネットで販売ができるようになると、国内のみならず海外にも販売が可能になるので、市場が一気に広がります。
日本の伝統工芸品は非常に質の高いものなので、需要はあるはずです。
食品や酒類はすでに高い評価を得ていますし、包丁などの刃物も海外での評価が非常に高いです。
良いものは必ず受け入れられるので、積極的に販路を広げることで、売り上げ期待できます。
売り上げなくして後継者問題の解決はあり得ないので、まず伝統工芸品を売る仕組みを作ることが先決です。
伝統工芸の後継者をマッチングで解決する
伝統工芸の後継者を解決する手段としてマッチングほと
インターネットの強みを発揮できるものはありません。
マッチングとは、人と人を結びつける行為で、マッチングサイトは、マッチングを行うサイトのことです。
物理的な距離をなくすのがインターネットなので、マッチングによって伝統工芸に興味のある人材を全世界から集めることができます。
どうやってマッチングサイトを使って人を集めるのかはインターネットマーケティングの知識が必要になります。
単にマッチングサイトを作っただけでは人は集まりません。
ここがマッチングサイトの課題ですが、ここを解決できれば後継者不足の課題が解決しやすくなります。
ネット販売とマッチングを融合させる
ネット販売もマッチングサイトもインターネットを使った後継者不足の解決方法です。
しかし、それが別々に機能していても後継者不足の課題解決には不十分です。
現在では、ネット販売はネット販売で完結し、後継者探しはそれで完結しています。
それぞれを別個に考えるのではなく、両者を統合的に整理して後継者不足を解決するような考え方で取り組まないと、後継者不足の問題を解決する方向には進まないのでないでしょうか。
せっかくのインターネットの強みがあっても、バラバラに動いていては強みが発揮できないのです。
伝統工芸が直面する3つの課題とインターネットを使った3の解決策のまとめ
・生産量 - 平成10年度から18年間で約1/3にまで減少。
・伝統工芸士 - 平成20年度から11年間で約700人減少。
◆伝統工芸が直面する3つの課題
1.伝統工芸品の生産量が減っている
2.伝統工芸の後継者が不足している
3.伝統工芸の技術の伝承が難しい
◆インターネットで課題を解決
1.ネット販売
2.マッチングサイト
3.双方を融合させること。
以上がインターネットを使った解決策でした。
ここには書きませんでしたが、後継者や技術伝承、ネット販売を支援する補助金を活用すると資金的にも楽になるので、考えてみると良いですね。
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